LM4780を利用したBTLパワーアンプ |
パワーアンプICを使って簡単に面白い物が作れないかと考えていたのですが、LM4780という石が、DualでLM3886を内包したような石であるという話を見ました。LM3886といえば、Gaincloneで有名なパワーアンプ用のオペアンプですね。値段も見てみたのですが、Digikeyで簡単に手に入れられて、しかもだいぶ値段が安い。LM3886一つは、若松で1000円ぐらいで買えますが、ステレオ分で考えてもお釣りが来ます。 ただ、そのまま作るのでは普通すぎるので、BTL構成で設計してみようと思っています。BTLにするには、いわゆるバランス入力が必要になるのですが、おあつらえ向きにアンバランス→バランス変換用のアイテムはすでに持っています。 |
アートワークはやってみました |
思っていた以上に配線の引き回しが大変でした。 今回は、電源ラインをポリゴンでガチっと太く構成してあります。コンデンサは、小容量の代わりにたくさん配置できるようにしてあります。 FineGoldの25v2200uFあたりが、ちょうど配置できると思います。 もっとも、この基板に接続する前に、ブロックコンデンサも配置するのが望ましいでしょう。若松あたりに行けば、安い物から高級?な物までごろごろしてますね。 BTLにするには、平衡信号が必要ですが、これにはオーディオ用の平衡ドライバを使います。 SSM2142や、DRV134が取り付けられます。ピン互換なので差し替えも可能です。 あとは、試作にだしてみましょう。 |
最新状態。 |
GNDのパターンと、ラインドライバー用の電源の引き回しを少し変更しました。 今までの物だと、変なところで+電源を横断することになるので、迂回路を形成しました。 基板サイズも思ったよりも大きくなってしまいましたが、このあたりが手の打ち所といったところです。 |
試作開始! |
いよいよ、差動ドライバーを使ったパワーアンプを作ってみます。 今のところはモノラルだけではありますが、できました! モノラルだけまず作ったのは、やっぱり一枚動作確認してからじゃないと怖くてしょうがなかったからですねw かなりいい加減ですが、LM3886を取り外して置き換えました。 ドライバーは、DRV134が入手難だったのでSSM2142で行いました。 LM4780のゲインは1k→18kで18倍です。 2k→18kのゲイン9倍ではノイズが発生して聞けたものではありませんでした。 データシートのサンプルではどれも20倍ゲインになっていることから、20倍近くのゲインを持たせてあげたほうがよさそうです。 ちょっとポップノイズが出るので、できればミュート基板を追加したいところであります。 結果としては、一応成功です。 ノイズもなく、快調に音が出ています。ただし、モノラルなので評価はできません。 動作が確認できたので、早速もう片方も作ってみることにします。 さて、結果はどうだろうか。 |
動確終わり! |
早速組み付けてみました。 が、真似しちゃいけない取り付け方です。ヒートシンク等はしっかり取り付けましょう・・・。 一応、これでも50度以下を保ってくれるので熱問題はひとまずOKです。(±15Vです) モールドタイプではないので、絶縁シート必須です。-Vに直結されているのをテスターで確認しました。 そのまま取り付けると危険です。 音出しの結果ですが、LM3886のときよりも良好と感じます。 全体的にノイズも音の破綻も見られません。 問題なくメインアンプとして使用できます。 |
ハムが聞こえる・・・・ |
BTLの出力波形を見るためにオシロをつないで見ました。 見事に上下対称な波形が出ています。まったく問題ありませんね。 しかし、テスト中にふとスピーカーに耳を近づけてみると、ハムっぽいノイズが常に左右から出ています。 おおう、どっかでミスったかと思いましたが、原因は単純なところにありました。 電源を横着して数珠繋ぎにしていたのが原因でした(汗 ブロックコンデンサの出力をまとめている部分で1点にアースをまとめることでハムは収まりました。 耳を近づけてもハムはまったく聞こえてきません。 さて、これで安心して完成と言えそうです。 |
オフセットが!? |
オンオフ時のポップノイズが気になって、色々いじってみましたが、そこで電源ON時とoff時でコーンの位置が違うことに気づきました。電源入れるとちょっと手前に出てきます。 これは妙だと思ってオフセットを調べてみると、0.5Vも出ています。 ここまでオフセットは出ないはずです。 色々試行錯誤した結果、SSM2142の出力オフセットが数十mV出ていてそれが増幅されて出ていたようです。 これでは、ラインドライバー前でDCカットしていても意味がありません。 そこで、構成を変えました。 LM4780の反転増幅はそのままにして、ドライバーの後にDCカットをいれるようにしました。 また、ミュート機能に、遅延用のコンデンサーなどを追加して、ポップノイズが出ないようにしました。 現在、これでポップノイズとオフセットは出ていません。 これで対策は十分です。 しばらく聞いてみましたが、LM3886単体と比べると、柔らかめで包まれるような立体音場という感じがします。 LM3886はちょっと硬めで鋭く、平面にクリアという感じでしょうか。 私はボーカル曲中心で聞いていますが、声のハッキリ感は前よりも良くなった感じです。 環境によって変わると思いますが、私の環境ではこのような感じです。 構成は、 お勉強DACII-1794 → WM8816-EVR(OPA627BP) → LM4780-BTL です。 電子ボリュームのOPAを変えるとまた違った音になると思います。 LM4562に変えるとクリアになったりもしますが、この音場が好きなので、OPA627BPにしてあります。 DRV134に変えてみるのも面白そうです。 |
最終調整 |
ヒロさんのBBSにて、R.さんがBTL用電源について記載されているBlogへのリンクが紹介されていました。 丁度いいタイミングだったので、それに併せて基板を微調整、電源に対してクォリティーを上げてみました。 また、それにあわせて外部の平滑基板を作ってみました。 といっても、たいしたことはなく、トランスからGNDのラインに抵抗を入れるだけです。 これがなくても全く問題ありませんし、基板のレイアウトが変わったからと言って、想定していた接続方法が変わるわけでもありません。 元々、外部にブロックコンを付けることを想定していたので問題ないわけです。 ブロックコンになるか、基板上に付けるか程度の違いです。 使いやすいRSコンポーネンツのトロイダルを使うことを想定して、トランス用のパターンは4穴にしました。 基板上のコンデンサの耐圧は、15Vが入力できる程度(16V)を想定していたのですが、接続方法が変わったので、30Vに耐えられるコンデンサ(35V)を付けなければいけません。こうなると、元々のパターンでは小さいので大きくしました。これで35Vの大容量タイプがのせられるはずです。 平滑基板の方は、今までのBTL基板と同じサイズのコンデンサが載せられるようになっています。 ブロックコンを使う方はいらない基板ですね。 ちなみに、LM4780に取り付けられるヒートシンクは、若松WEBにおいてあります。 ワッシャを使わないとうまく固定できませんが、かなりぴったりでした。 |
基板到着と製作。 |
一度作った物ですが、結構レイアウトなど変えたので一度作ってみます。 想定した部品はあらかた問題なくつきました。 電源のスナバ部分は、コンデンサが予想以上の大きさだったので、足を工夫して入れました。 作っていて発見・・ ラインドライバの電源部で、抵抗を2本、回路図段階で間違えてしまっていました。 パターンカットをすることなく、修正可能なので、詳しくはマニュアルを見てみてください。 重大な間違いはさすがになかったので、このまま行くことにします。 音質にも気になるところはありません。 |